2018年5月12日土曜日

ご機嫌斜め? 2ストオイルポンプ


DT1のオイルポンプ
ダイヤル側からオイル漏れがあるとのことでオーバーホールのご依頼です。

分解前に目視確認していきますが、


このポンプのように、ダイヤルがつく軸端が極度に錆びているものはオーバーホール不可となる場合があります。


錆を磨いて除去すれば、ポンプボディにダメージを与えることなく抜けるのですが


オイルシールのリップと接する部分まで錆が回っているものは、表面がクレーター状になっているため、いくら新品のオイルシールに交換しても再び漏れてしまうからです。

また、軸が摩耗して痩せてしまっているのも再利用不可です。
鉄の軸とゴムのオイルシール
摩耗するのは硬い鉄なんです。不思議ですねぇ。


今回のポンプは目視上、大丈夫なようです。


おや?


最小ストロークを決めるシムが外側に付いてますね。


最小ストロークがほぼゼロでした。
これではアイドリング時に給油できなくて焼き付きますよ!


さて、ダイヤルを外してシールの確認です。
少し前にシールは交換したそうなのですが、、なんだか違和感ありませんか?


シールが斜めに圧入されてます。
原因はこれでしょう。


分解して内部も確認します。


プランジャー
摺動部に痕はありますが、修正許容範囲内。


カムに打痕があり。


修正しておきました。


その反対側にあるだいたいユルユルの尻栓。
この尻栓は接着されていて問題なし。
念のため、上から樹脂を流しておきます。


ぱっと見、キレイなプランジャーカムですが、


錆を磨き落としてあり、リップと接する部分付近にクレーターが確認できました。

普通にオイルシールを組むと、またここから漏れだす可能性がありますので、オイルシールを加工、挿入位置を少し奥にすることで、キレイな面で接するようにしていきます。


加工したオイルシールは、軸に対して斜めにならないように治具を使って挿入


位置と傾きをチェック


内部の大きいシールも同様に治具で挿入し、プランジャーが接する部分には


グリス(赤い部分)を塗布します。

オイルポンプ内部は、2ストオイルで満たされており、常に潤滑されてるのでグリスは要らないのですが、プランジャーカム部はオイルシールの外側になるので、グリスによる潤滑が必要となります。

ということは、定期的に分解整備が必要ってことですよ。


シムも正しい位置で組上げて


最小ストロークを0.25mmで設定


最後にリークチェックと吐出チェックをして完成です。





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